第97回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の予選会が17日午前、東京都立川市の陸上自衛隊立川駐屯地内で始まった。今回は、コースを駐屯地内に限定し、無観客での実施。新型コロナウイルス感染防止のため、主催者も出場校も一致団結して臨んだ予選会だ。
午前9時35分。スタートラインから「密」を避けて整列していた500人以上のランナーが、合図とともに駆け出した。競り合いや接触が起きないよう、多くの選手が周りとの間隔に気をつかいつつ走っているようでもあった。応援の音もない。そんなスタートの様子は、今回のレースの象徴だ。
昨年までの予選会では、出場各校の選手12人が縦1列になり、全校の先頭がラインにびっしり横並びした状態からスタートしていた。それが、今年は一変した。
主催者の発表によると、出場46校が、昨年度の成績に応じて2グループに分けられた。上位23校は前方ブロックに、残り23校は後方ブロックに、各校縦1列で並んだ。各校の選手数は12人。人と人の間隔は、左右が2メートル、前後が1メートルとされた。
つまり、後方ブロックの12人は、前方ブロックの12人よりも、約12メートル後方からスタートを切った。後方ブロックの学校がタイム的に不利となる、競技レースとしては異例のスタート方法だ。これを、各校が「仕方ない」と受け入れた末に開催されたのが今年の予選会だ。
コロナ禍以来、出場各校は、それぞれ全力でクラスター防止に努めてきた。
例えば山梨学院大では、選手らが入る寮での感染防止に細心の注意を払う。飯島理彰・駅伝監督によると、寮に入る際は手洗いうがいや検温はもちろん、「靴の裏まで消毒している」という。徹底した対策をとるのは、2017年の本大会での苦い経験があるからだ。大会前に主力選手がインフルエンザに感染。調整不足となって本番に走れなくなったことが響き、総合17位とシード権を取り逃した。それだけにコロナの感染予防にはより気を配り、予選会を迎えた。
駿河台大は、長距離大国のケニアへ遠征に出ていた主力ランナーや監督・コーチが、コロナ禍の直撃を受けた。合宿は2月から3月下旬までの予定だったが、ケニア政府のロックダウン(都市封鎖)により、4月中旬まで帰国できなくなった。チーム練習は初夏から本格再開した。徳本一善監督は「あれだけのことを乗り越えたメンバーなら何があっても大丈夫」と、選手の成長に期待する。
夏場以降の合宿については、県境を越えた遠征を差し控えた駅伝チームがある一方で「人の多い都会を避ける狙いもあり、長野や北海道などで練習を積んだ」という日体大のような合宿肯定派も少なくなかった。
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予選会のレースは1時間余りで終わり、上位10人の合計タイムで争われる。上位10校が、来年1月の本大会に進む。
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