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[検証 スポーツ賭博]<3>推進派「ビジネス」偏重 - 読売新聞オンライン

 「スポーツベッティング(賭け)」解禁を経済産業省と推進してきたのが、スポーツ振興に関心が高い自民党議員たちだ。

 4月22日午後、党スポーツ立国調査会のスポーツビジネス小委員会(片山さつき委員長)が開かれた党本部7階の会議室は、盛り上がっていた。

 「新たなスポーツ財源を作らないといけない」

 「日本以外の先進国では合法なのに、日本だけ導入しない手はない」

 約10人の出席議員からは、解禁に積極的な意見が相次いだ。会議に招かれたIT企業幹部や大学教授らは、日本の市場規模が5兆円に達するとの見通しなどを示し、こうしたムードを後押しした。

 小委員会がその日のうちにまとめた「スポーツの成長産業化に向けて」と題する提言には、スポーツ賭博についてこう記された。

 <世界のスポーツビジネスの中核になっていると言っても過言ではない。(中略)その活用の可能性を検討すべきである>

          ◎

 片山氏は、「日本のスポーツはすでに海外で賭けの対象となっており、国内に取り込むべきだ」と主張する。解禁に前向きな議員に共通するのは「スポーツの成長産業化に寄与する」(佐々木紀・調査会事務局長)、「ビジネス機会の損失だ」(牧原秀樹衆院議員)という「ビジネス」の視点だ。小委員会の参加者には、ITに詳しい若手・中堅議員が少なくない。

 提言は昨年に続くものだが、賭博解禁に関するヒアリング相手は主にIT企業で、大規模な賭け対象になると想定されるプロ野球団体や、ギャンブル依存症の専門家などからの聴取は、ほとんど行われていない。

 小委員会には経産省幹部が陪席することが多く、主要メンバーの一人は「そもそもは経産省が『やりたい』というので担いだのが始まりだ」と打ち明ける。経産省と歩調を合わせる中で、賭博の弊害や、スポーツのあり方を見渡した幅広い議論は目立たなかった。

          ◎

 賭博解禁に向けた自民党内の状況について、小委員会に出席した議員は「toto(スポーツ振興くじ)の延長線と受け止めている議員が多い」と解説する。

 しかし、totoが複数の試合単位で結果を予想するのに対し、スポーツ賭博は試合中の選手のプレー一つ一つが賭けの対象となり、射幸性は段違いになるとの見方がある。

 totoは2001年に本格導入された。スポーツ界が選手強化の拠点であるナショナルトレーニングセンターなどの整備財源を求めたことが発端だった。一方、スポーツ賭博では、新たなビジネスチャンスととらえるIT業界の存在感が大きく、「賭博利権に絡んで党とIT業界との癒着が進むのではないか」と見られかねない危険性をはらんでいる。

 調査会会長の遠藤利明・元五輪相は8日、読売新聞の取材に「スポーツ財源確保にtotoを活用することはあるが、スポーツ賭博の合法化は考えない」と語った。

 スポーツ界の健全な発展に向け、政治には「ビジネス一辺倒」ではなく、国民の理解が十分に得られる議論が求められている。

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