早稲田大学の前身である東京専門学校に体育部(現競技スポーツセンター)が設立されてから125周年。節目を祝い、そして「早稲田スポーツ新世紀」と位置付けたこれからの125年の飛躍を決起するため、『早稲田スポーツ125周年記念式典』が挙行された。早大の創立者・大隈重信が「人は摂生すれば125歳まで生きることができる」と言ったことから、「125」は早大にとっては意味のある数字だ。式典には、現役の体育各部の代表の学生、卒業生、大学関係者など、早稲田スポーツに関わるさまざまな立場の人が参列した。岡田武史氏(昭55政経卒)による基調講演や学生企画のクイズ大会などの演目を通じ、早稲田スポーツへの誇りを「加速」させる1日となった。
元フィギュアスケート選手でカルガリー五輪に出場し、早大在学時にはユニバアーシア-ド(現世界ユニバーシティ大会)で優勝した八木沼純子氏(平7教卒)による、力強くも清々しい司会で式典は始まった。田中愛治総長(昭50政経卒)の挨拶は、自身の空手部での経験を交えながら、「文武両道」を掲げる早大の体育各部のあるべき姿について述べた。現役の選手にエールを贈るとともに、大学としての今後の展望を語った。さらに、衆議院議長や外務大臣を歴任し、稲門体育会会長を務める、河野洋平氏(昭34政経卒)からの「体育各部のために大学に求めること」を含む熱い祝辞。自身が所属していた競走部のみならず、44部全てに関心を向けた内容に、会場の拍手は大きくなるばかりだった。そして、永遠の盟友である慶応義塾の塾長、伊藤公平氏からも祝辞が述べられた。
講演をする岡田氏
式典の記念講演を務めたのは、岡田氏。ア式蹴球部のOBであり、日本代表の監督として日本をベスト16に引き上げた。現在は「今治.夢スポーツ」の代表取締役会長としてFC今治の運営に携わっている。早大在学時のエピソードから始まり、若者のスポーツに対する主体性や、事業を通じて叶えたい社会変革について「スポーツの現在と未来」と題して語った。「(体育各部の)皆さんのやっている『スポーツ』というのは、数字で表せない価値を持った、社会の中心になっていく大きなもの」だと、新たな社会を創造する岡田氏の「夢」を巧みな話術で熱く伝え、会場を引き込んだ。講演後には、ア式蹴球部女子の渡辺奈美(スポ4=埼玉・大宮開成)から花束が贈呈された。
続いて、記念動画として『写真で振り返る早稲田スポーツ栄光の125年』が放映された。1887年から2022年までの主要な出来事や体育各部の功績を画像で繋いでいく10数分。1年1年をじっくりと振り返る動画には、1959年の『早稲田スポーツ』創刊も紹介され、大会の実績だけでなく、「早大文化」としての早稲田スポーツの存在の豊かさを象徴するものとなった。動画の最後には、「未来のレジェンド」として、野球部・蛭間拓哉(スポ4=埼玉・浦和学院)、野球部・伊藤樹(スポ1=宮城・仙台育英)、水泳部・牧野紘子(令4教卒=現あいおいニッセイ)、競走部・山内大夢(令4スポ卒=現東邦銀行)、ラグビー蹴球部・佐藤健次(スポ2=神奈川・桐蔭学園)、スキー部・谷地宙(スポ4=岩手・盛岡中央)、スキー部・広瀬崚(スポ4=富山・雄山)、女子バスケットボール部・江村優有(スポ2=愛知・桜花学園)、男子バレーボール部・大塚達宣(スポ4=京都・洛南)、レスリング部・須崎優衣(令4スポ卒=現キッツ)、レスリング部・鈴木歩夢(令4スポ卒)、自転車部・中野慎詞(令4スポ卒=現Dream Seeker)、バドミントン部・緑川大輝(スポ4=埼玉栄)、アーチェリー部・園田稚(スポ2=エリートアカデミー)、紀平梨花(人通2=沖縄・N)が『紺碧の空』に合わせて紹介された。
学生企画の司会をするアナウンス研究会の二人
その後の学生企画では、「早稲田スポーツクイズ大会」が実施された。この企画は、早大体育各部実行委員会、VIVASEDA、早稲田スポーツ新聞会の合同企画である。午前中に行われた予選を勝ち抜いた、一般参加と体育各部のそれぞれ4チーム、そして田中総長、石井昌幸競技スポーツセンター所長、松本泰介競技スポーツセンター副所長、花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)の4人がタッグを組んだ「チーム大学関係者」の計9チームが優勝を目指してしのぎを削った。田中総長の参加はサプライズでの発表。学生人気の高い田中総長の参加には大きな歓声が上がり、田中総長も「早稲田スポーツは好きなので、頑張れると思います」と意気込んだ。決勝ラウンドには4チームが参加。難問続きのクイズに会場の学生も思わずうなるが、見事なチームワークを発揮し、正解を叩き出していく。決勝ラウンドに唯一進んだ一般参加チーム「バーバー・馬場」も奮闘するが、勝負は「チーム大学関係者」と、「チーム素早い動き(合気道部・少林寺拳法部・ボクシング部・空手部・少林寺拳法部の代表者)」の接戦に。最終問題「1905年、野球部はアメリカ遠征で26試合中何勝したか」という問題に対し、「チーム素早い動き」が冷静に予測する。「チーム大学関係者」よりも正解の「7勝」に近い「5勝」と回答し、「チーム素早い動き」が優勝となった。「チーム素早い動き」は喜び合い、ボクシング部の宮田万輝(スポ3=群馬・前橋育英)は、「部活ではあまり活躍できていないが、これからは部活でも活躍できるように頑張りたい」と話した。感想を求められた田中総長は「めっちゃ難しかったです」と話し、会場を和ませた。
勝利を喜ぶ「チーム素早い動き」
最後には、応援部の指揮で校歌を心の中で「斉唱」。現役の学生や卒業生を含む、参加者全員が、気持ちの高鳴りと今後の躍動への誓いを込めた拳を強く振り上げ、早稲田魂を結集させた。「早稲田スポーツBEYOND125プロジェクト」は、この式典を経て、また次のステップへと進んでいく。キャッチコピー、「エンジの誇りよ、加速しろ。」の通り、体育各部はそれぞれに、また一丸となってその存在感を高めていくだろう。早稲田スポーツの「新世紀」は、まさに今、たくましく走り始める。
腕を振る体育各部部員と応援部
(記事、写真 田島璃子)
コメント
競技スポーツセンター職員 江川武彦氏
――式典を終えた感想は
多くの方が詰めかけてくださいました。特に過去に活躍されたOB・OGの方が来られて、なおかつ現役の部員がそこに混ざって125周年をお祝いするという貴重な機会になったことは担当者としてとてもうれしく思います。
――今回の式典に込めた思いは
式典なので、まず歴史をきちんと共有できることが大事だと考えました。ただ過去を振り返るのではなく、未来も含めてみんなが同じ気持ちで新しいスタートを切れる日になればいいなということで過去に早稲田スポーツで活躍した方、今、これから早稲田スポーツを担う人が集まりました。それに加えて、体育各部に関わらないファンの人や、早大に入ったばかりで早稲田スポーツに触れていない人も今回の式典には携わっています。いろいろな立場の人が早稲田スポーツをキーワードにして、思いが一つになったと感じました。
――式典の中に、学生企画のための時間をつくった意図は
これは競技スポーツセンターの執行部の先生方の意向が一番にあります。体育各部だけに収まるのではなく、現役の学生が早稲田スポーツに携わってほしいという強い思いが執行部の先生方にはありました。それをどのように具現化するかと考えた時に、いろいろな学生の方に声を掛けました。早稲田スポーツ新聞会、体育各部の実行委員の学生とVIVASEDAという一般の学生グループが入り、そこが三位一体となって、それぞれの立場で式典を盛り上げるという一つの目標に向かうことは非常に意義がありました。また、卒業した先輩方の中には今の学生と交流がない方も多いので、その人たちに今の学生が頑張っている姿や学生がもつバイタリティをお見せして、早稲田は元気だよというのが伝わればいいなと思っていました。
――今後の競技スポーツセンターの展望は
これははっきりしていて、早稲田スポーツのファンをいっぱい増やすことです。早稲田スポーツ新聞会やVIVASEDAにもその一翼を担って頑張ってもらいたいです。最近では早慶戦の応援ツアーといったこともやっているので、そのようなことを通じて、スポーツをやる人、見る人が早稲田スポーツに携わって、みんなで盛り上げていきたいと考えています。
大原ひなた(早稲田スポーツ125周年記念式典学生企画実行委員長、VIVASEDA、人4)
――まずは今の率直な気持ちを聞かせてください
大きなトラブルもなく終わり、会場の方も結構盛り上がってくれたので良かったなと思います。
――どのような気持ちで事前に臨みましたか。不安は
Googleフォームの回収や予選から勝ち上がるチームの数がどうなるかといった、クイズ大会の内容自体に結構不安があったので、大丈夫かなと思っていました。しかし(大会運営の)皆さまに助けていただき、何とか終えることができました。
――委員長として参加された経緯を教えてください
最初はVIVASEDAに、早稲田スポーツ125周年式典で何かをやらないかと(競技スポーツセンターから)声を掛けていただきました。私がそれを引き受け、メンバーを集めた後、早稲田スポーツ新聞会や体育各部実行委員の方々にも声を掛けることになり、そこから(メンバーが)広がっていきました。
――今回、複数の団体をまとめる経験をしていかがでしたか
初めての経験でしたし、ミーティングが週に1回しかありませんでした。その中でうまく意見をまとめるというのも初めてだったので難しかったです。
――今回の経験を踏まえて今後に生かしたいと思うことは
私は4年生なので、イベントのリーダーをやることはほぼないと思いますが、今後社会人になり、さまざまな団体と何かをやることになったときなどに今回の経験を生かせたらいいなと思います。
☆式典では、125周年記念式典誌『44の円陣』が配布された
田島璃子(記念誌全体統括、文構3=東京・筑波大付)
――完成した冊子を見て
細かなミスがたくさんあることをすでに聞いたので、その怖さから、完成したものはまだパラパラとしか開けていません。ですが、1カ月半の作業が1つの本になったことに感激しました。さらに、式典でたくさんの方が手に取って冊子を開いている姿を見て、こみ上げてくるものがありました。
――メインの企画は
大きな企画は、監督の対談の2つです。ですがやはりメインは現役の学生かなと。主将同士の対談は今早稲田にいるからこそできる巡り合わせだなと思うので、多くの部の皆さんや早稲田スポーツ新聞会(早スポ)のメンバーの協力を得て、実現できて良かったです。
――記念誌を作成するに至った経緯は
始めは学生企画の運営として招集されました。しかし早スポの強みはやはり「文字」ですし、なにか記念になるものが作れると良いなと思っていたところ、競技スポーツセンターの方から資金面でのご協力のお話を頂きました。
――記念誌の作成を経て、早稲田スポーツ新聞会としての今後の野望は
現在、早スポは人手不足もあり、泥くさく取材をし続け、記事を上げ、また取材に行き…を繰り返すしかなくなっています。もちろんそれは早稲田らしくもあり、がむしゃらで良いのですが、記念誌の作成や式典でのお話を踏まえ、「大学スポーツの価値」を改めて考える必要があるのは、メディアも同じだと強く感じました。ただその活躍を報じることに満足せず、体育各部と一緒に、メディアとして何ができるかを常に考え、足だけではなく頭を動かす必要があると思います。もっと柔軟に活動する必要があると思います。
――記念誌を手に入れる方法は
早スポホームページからご購入いただけるよう準備しております。記念に残る1冊を、ぜひお手に取ってご一読ください。
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