新型コロナウイルス禍で史上初めて延期開催された東京五輪は、開幕から23日で1年。パラリンピックを含む実施競技の国内統括団体に本紙がアンケートを行ったところ、スポーツ振興の機運は東京大会後に停滞またはしぼんでいると、約7割の団体が感じていることが分かった。スポーツ界には大会の機運をさらに盛り上げていく狙いがあったが、長引くコロナ禍で競技会や体験会を実施できず、自国開催の「熱」を思うように生かせていない現状が浮かんだ。(運動部取材班)
大会後に機運の変化を感じているかを尋ねたところ、55団体のうち56%の31団体が「変化はなし」と答え、13%の7団体の「しぼんでいる」と合わせて69%に上った。「さらに高まっている」は25%にとどまった。
変化なしの理由に、複数の団体がコロナ禍による活動の制約を挙げた。3大会ぶりに実施されて頂点に立ったソフトボールの日本協会は「機運が高まってほしいという希望はあったが、コロナ禍が足かせ」と嘆いた。五輪のある団体は「主催大会が開催されない状況が続いた。開催しても無観客」。男子の銀メダルに沸いた車いすバスケットボールの日本連盟も「主要大会ができず、ファンの温度感が見えない」と答えた。
「しぼんでいる」と回答した団体のうち、パラの馬術は「メディアなどで取り上げてもらえる機会が減った」と説明し、ハンドボールと空手は支援企業の撤退を明かした。
一方、東京大会で新たに採用されたスケートボードとサーフィンは「さらに高まっている」と回答。ワールドスケートジャパンは「外でスケートボードを楽しむ子ども、それを許す大人が急増中」と開催効果を強調した。同じく新採用ながら2024年パリ大会で実施されない空手とは明暗が分かれた。
アンケートでは、東京大会の「最大のレガシー(遺産)」も問うた。「ダイバーシティー(多様性)インクルージョン(包摂)への理解が進んだ。結果だけでなく過程や選手の感情に国民が共感し、新たなスポーツ像への関心も高まった」(日本陸上競技連盟)などの回答があった。
その他の自由記述で、日本セーリング連盟はコロナ禍の開催を通して「スポーツは不要不急なもの」という考え方が強まったとし、「スポーツ界がポジティブなメッセージではね返せなかったことは残念」と総括した。
◆競技団体の主体性にも問題はないか
宇都宮大・中村祐司教授(スポーツ行政学)の話 機運をつなげられない原因にコロナの影響は無視できないが、競技団体の問題もあるのではないか。延期や無観客など異例の経過をたどった東京大会は国策や政治の側面が強く出て、主役のスポーツ界の存在感が乏しかった。日本オリンピック委員会(JOC)をはじめ、競技の現場からもっと声を上げて主体的に大会に関わり、最後までやり切っていれば、現状は異なっていたかもしれない。
本紙アンケート 東京五輪・パラリンピック実施競技の58団体(五輪32、パラ26)に書面で質問を送った。五輪・パラ両方の競技を統括する団体はパラで集計した。6月27日~7月15日に55団体(五輪30、パラ25)が回答した。
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