中学生や高校生のアスリートにとって、特に多くのチームスポーツにとって夏は集大成の試合を迎える季節です。地域で頑張る学生アスリートにスポットをあてるシリーズ”最後の夏”。第4回は福岡県で部員不足に悩みながら最後の夏に臨んだ高校生を取材しました。
福岡県大牟田市にある県立ありあけ新世高校野球部は、ことし4月初めの段階で部員は3年生のみ4人でした。春の公式戦は同じく部員不足に悩む高校と連合チームで出場しましたが、3年生にとって最後の大会となる夏は単独チームでの出場を目指して、新入部員の獲得に励みました。
部員は4人 助っと登場
その一環が、部活動紹介です。ステージで「ソーラン節」を披露し、明るい雰囲気をアピールしました。
ステージで「ソーラン節」を披露し、明るい雰囲気をアピールしました。その後の勧誘活動もあって、野球部に1年生3人が入りました。それでも9人には届きません。そんな中、「助っと」が登場しました。
塚本航之介くん(元バドミントン部3年)
5月のはじめに最後の大会があって引退しました。野球はやったことはないけれど、やってみたいと思いました。
村越智翔くん(3年)
帰宅部です。前原主将に誘われました。みんな1勝に向けて頑張っているので、期待に応えられるように頑張りたいです。
そして部員は10人に増えました。
主将 前原圭佑くん(野球部3年)
練習も活気があふれてきました。やっと野球という感じです。
平松雅史監督
来てくれてありがたいです。3年生の4人は、去年から1年間頑張ってきたので、何かしら最後、花を持たせてやりたいです。
単独チームで臨む初戦
初戦は、雨の影響で当初の予定より5日遅れて7月11日でした。
対戦するのは部員を60人以上抱える香椎高校です。5年前の夏の大会ではベスト4の成績を残しています。
先発したのは1年生の具志碧惟くんでした。
「相手が強くてとても打たれてきつかった」と2回までに18点を失いました。
3回、リリーフで登板したのはショートを守っていた小宮快斗くん。
この試合の相手の攻撃、スコアボードに唯一「0」が入りました。
打たれたヒットは29本。エラーは9個。そうした中でも、球場に響く大きな声を掛け合って、最後まで顔を上げて戦い抜きました。
試合は5回コールド、ほとんど守りに回った1時間44分、0対32で敗れました。
最後の夏につかんだものは
平松監督はメンバーに「この期間、楽しかったか」と問いかけました。
全員がうなずきました。平松監督は話を続けました。
平松雅史監督
なかなかないスコアになって、試合中はすごくきつかったかもしれない。それでも『楽しかった』とみんながうなずいてくれて、僕はうれしかった。声を掛け合って助け合う姿が見られて、プレー云々よりも気持ちの面での成長が見られた。
最後まで顔を上げてプレーしたのは、君たちの強さじゃないか。きょう負けたからといって、これからが負けというわけではない。野球を通して成長できたことをこれから生かして、最終的に自分が楽しいと思える人生を過ごせれば、それは勝ったと言えるのではないか。
そもそも、単独チームで出場するという大きな目標をかなえたメンバー。みんなすがすがしい表情をしていました。
小宮快斗くん(野球部3年)
気持ち良かったです。やりきりました。
そして、高校最後の夏の記憶は、助っとへの感謝の気持ちとともに刻まれました。
主将 前原圭佑くん(野球部3年)
彼らがいなかったら試合はできなかった。彼らがいたからチームが盛り上がった。本当に感謝しています。
村越智翔くん(元は帰宅部3年)
この野球部と野球ができて、楽しかったです。雰囲気もそうだし、何をするにも全部楽しかったです。
塚本航之介くん(元バドミントン部3年)
みんなでこの日を迎えられてうれしかったです。最後まであきらめなかったことを、今後に生かしたいと思います。
スポーツには、勝利や優勝を目指して競い合う面が確かにあります。しかし、今回の取材を通して「勝ち負けよりも、大切なことがある」と教わりました。
楽しかったか?成長できたか?忘れられない思い出となったか?彼らはそれぞれ勝敗をこえた先にあるものをつかんだと感じました。
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