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アビスパ福岡が挑戦する日本初「スポーツDAO」 デジタル通貨購入で運営参画の妙味 - 産経ニュース

福岡市内の商店街で行われた集客キャンペーン。DAO内のコミュニティーで企画され、メンバーや選手も参加した=令和5年3月(アビスパ福岡提供)

サッカーJ1のアビスパ福岡がIT技術を活用し、サポーターや地元企業などがクラブ運営に積極的に関わることができる「分散型自律組織」(DAO、ダオ)を今年導入した。収益拡大とともに集客や広報、グッズ製作などでサポーターの意見を取り入れることができるという日本スポーツ界初の試みで、地域課題の解決などより幅広い領域への活動にも期待がかかる。

DAOとは「Decentralized Autonomous Organization」の略で「中枢部や管理者を置かず、構成員の投票や合意によって意思決定を下す組織」とされる。改竄(かいざん)が困難なブロックチェーンなどのIT技術を使って運用され、ビットコインなどの仮想通貨もその一例。従来の企業・団体は上から下へ階層構造になっているが、DAOはメンバーの投票で意思決定するフラットな構造になっている。

アビスパは運営資金調達のため、令和3年からIT企業と連携してクラブ内で使える「トークン」というデジタル通貨を発行している。トークンはファンクラブのように保有者限定のグッズ販売やイベント参加といった特典のほか、株式のように売買できるのが特徴。スペインの名門バルセロナなど海外のビッグクラブも発行しており、日本でも新たな資金調達を兼ねてトークンを導入するスポーツクラブなどが増加している。

保有者からすると、クラブの価値があがってトークンを欲しい人が増えれば、株式のように価格があがり、資産価値が増えるというメリットもある。アビスパでは過去3回発行し、計2200万円以上の支援金が集まった。売り出し直後は1トークン18円程度まで上昇したこともあるが、現在は6円前後で推移。10万トークン以上の保有者もいるという。アビスパ福岡マーケット開発部主任の中嶋健人さんは「1年ごとに更新されるファンクラブと違い、トークンは長期的に応援してもらえ、さまざまなファンを増やすことができる」と話す。

そのうえでアビスパは今年2月、より多くの人を巻き込んでさまざまなプロジェクトを展開したいとDAOを立ち上げた。トークン保有者を個人だけでなく法人などにも広げ、保有者がコミュニティーでクラブの課題について話し合ったり、投票したりして運営の一部に参加、意思を示すことができるようになった。

スタートから約半年で、DAOメンバーは千人を超え、福岡県外やファンクラブ会員以外が3割近いという。Jリーグ初の試みに選手も関心を示して参加している。参加者へのアンケートではDAOやスポーツビジネスへの関心を回答する人もおり、中嶋さんは「サポーターではない東京の人など、今までにないステークホルダー(利害関係者)とのつながりができた」という。

DAO内のコミュニティーは「スタジアム感動体験創出」「新グッズ共同制作」「地域貢献課題解決」など8つに分かれ、メンバーがネット上を中心に議論を交わしている。これまで観客動員を考える企画として福岡市内の商店街でメンバーも参加して街頭キャンペーンを実施。9月10日のホームゲームで今期最多観客を目指そうと、メンバーがデジタルチラシを作成、コンペ形式で複数案の中から投票で選ばれたチラシをそれぞれが交流サイト(SNS)を使って発信するなど、参加者発のアイデアが具体的になりつつあるという。トークンを買い占めればクラブ運営をコントロールできるのでは、という懸念も生じるが、社長人事や監督交代、選手獲得などクラブ運営の根幹にかかわる部分は対象になっていないという。

今後は「NFT(非代替性トークン)」の発行、地域貢献として地元名産品のプロモーション、新規商品ラベルなどの共創、企業同士のネットワーク作り、Jリーグが推進する社会連携プロジェクト「シャレン」への参加など、より幅広い活動を目指している。アビスパの平田剛久マーケット開発部副部長は「行政も巻き込んで地域の課題を一緒に解決していくことを目指したい」と今後の展開を見据えている。(中野謙二)

「DAO(ダオ)」が描く人口減少下の地域づくり

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