Search

今や“着るエアバッグ”はライダー達の嗜み - GQ JAPAN

過去の“ワイヤー式”も多くの命を救ってきた

バイクにエアバックなんて……。20年前にはまったく想像すらできなかったことかもしれない。しかし、今やモトGPなどのレーシングシーンはもちろんのこと、多くのサンデーライダー達がサーキットだけでなく、一般道でも使用し、その安全性が知られるようになって、普及が加速度的に進んでいる。

筆者が最初にエアバックを使用したのはかれこれ10年以上も前のこと。一世を風靡した、無限電光が開発したHit-airという製品であった。これはライダーが装着するエアバック(を内蔵したジャケット)とマシンが伸縮ワイヤーでつながっている。転倒などで両者が離れた瞬間に、カートリッジに装着された炭酸ガスボンベに穴が開いてエアバックを膨らませる仕組みだ。

簡単に装着することができ、価格も抑えられていたのでライダー達に普及。多くの事故から命を救ったことで、大きな功績があったと言えよう。

しかし、例えば時速100km/hだと1秒間に27mも進んでしまい、コンマ1秒よりももっともっと短い時間が生死の分かれ目になる。そのためエアバッグは非常に短時間で膨らまなければならないのだが、残念ながら、この装置では設計上、時間的に間に合わなかったという事例も少なくなかったらしい。また、装備が大きくなるという問題もあった。

© jkuenstle.de

手の届く価格になった“ワイヤレス式”

そんななか、ワイヤレスで作動するエアバックの開発も進められていた。

イタリアの老舗ブランドであるダイネーゼは、今やレーシングスーツの必需品ともなっているバンクセンサーや背中のコブなど、多くの安全装備を開発し続けているパイオニアである。

そのダイネーゼがワイヤレスのエアバックシステムをいち早く開発したのだ。これにはバレンティーノ・ロッシをはじめとするモトGPライダーも携わっている。

そのエアバッグシステムがD-airだ。当初は契約ライダーのみへの提供であり、販売が開始されてからも非常に高価だったため、普及するには時間がかかるのでは……、いや、本当に一般的に普及する時代が来るのだろうか? といった懸念もあった。

しかし、普及率が高まるにつれて生産量も増えており、そのおかげで近年では手の届く価格になってきている。

エアバックが装備されたレーシングスーツは若干重くなってしまうものの、筆者の経験上、ヘルメットやシートベルトと同様に、装着していないと不安感を覚えるようになってくるから不思議である。

そして、今年3年ぶりに新調したD-air内蔵のレザースーツは、従来モデルに対して重さを感じにくくなっており、動き易さも圧倒的に向上していた。

古いABSやトラクションコントロールしか知らないライダーがよく「あんなもの、ないほうが良いんだよ! 」とおっしゃることがある。しかし、最新の装備を知ると、それが走りへの足かせとなることなく、安全性に貢献しているのが実感出来るはずだ。エアバックも同様で、違和感なく安全性を身につけられることが、日進月歩でアップデートされていることに新しいモデルで実感できる。

今や“着るエアバッグ”はライダー達の嗜み

このエアバッグであるが、USBコードによって充電を行ない、ファスナーを閉めて胸元のボタンを留めることで通電し、準備完了となる。

1000回/秒センサー信号を監視し、作動時間は判断に0.015秒。エアバックの膨張に0.03秒の合計0.045秒という圧倒的短時間で準備完了とすることが出来る。

サーキット用と公道用では当然アルゴリズムが異なり、それぞれが様々なセンサーを用いて最適に作動する。サーキット用のレーシングスーツではハイサイド、ローサイド、その他のクラッシュを短時間に判別して必要な場合のみエアバッグが膨らむ。つまり立ちゴケや超低速走行での転倒では開かない設定となっている。

残念ながら(?)その作動を経験したことはないが、着ている安心感はエアバッグなしとは比べ物にならない。まさに新時代のライディングスーツとなっているのだ。

さらに複雑な要素がからむ公道用は異なるアルゴリズムで、転倒はもちろん、障害物への衝突、停止時に後から追突されることにも対応するという安全性を確保する。

筆者もライディングジャケットを1着もっており、「ここぞ!? 」という時には着用している。

ただ、シチュエーションにあわせることが出来ないのが少し不便である。そんな人に向けて登場したのがスマートジャケットである。ブランドに限らず、どんなウェアにも合わせられるので、オールシーズンで安全を装備することが可能に。また長袖Tシャツの上に羽織るなんて使い方も出来るというイージーさ。満充電で最大26時間連続使用が可能というのも嬉しい。

仕事上、多くのライダーの転倒現場をみてきているが、しっかりした装備を身につけていれば……と思う機会も少なくない。

決して安いものではないが、すでにべらぼうに高いものでもなくなっている。まさかこんなに早く、こんな高機能が現実になるとは思わなかった。

買える安全を着る。じつにスマートな大人の選択であると思うのだ。

文・鈴木 大五郎 写真・ダイネーゼジャパン、BMWジャパン 編集・iconic

Let's block ads! (Why?)



"バッグ" - Google ニュース
May 17, 2020 at 07:38PM
https://ift.tt/2WCadHx

今や“着るエアバッグ”はライダー達の嗜み - GQ JAPAN
"バッグ" - Google ニュース
https://ift.tt/2MipGH6
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

Bagikan Berita Ini

Related Posts :

0 Response to "今や“着るエアバッグ”はライダー達の嗜み - GQ JAPAN"

Post a Comment

Powered by Blogger.