昨年のエリザベス女王杯で“復権”した女王が、この秋、さらにスケールアップした走りを披露した。
41年ぶりに阪神競馬場で行われた第45回エリザベス女王杯(11月15日、阪神芝内回り2200m、3歳以上牝馬GI)で、クリストフ・ルメールが騎乗した1番人気のラッキーライラック(5歳、父オルフェーヴル、栗東・松永幹夫厩舎)が優勝。史上4頭目となる同レース連覇を果たした。
大外18番枠から速いスタートを切ったラッキーライラックは、内の馬たちを先に行かせながら、中団から後方で折り合いをつけた。
「18番枠からのスタートはけっこうキツいと思っていましたが、いいレースができました。馬が冷静に走り、いい脚を使ってくれた。やさしいレースにしたいと思っていました」
ルメールの言う「やさしいレース」とは、馬に無理をさせず、ゆったりと走らせるレースのことだ。その言葉どおり、スムーズにコースロスのないポジションを取り、最後に爆発させるエネルギーを溜めた。
「彼女はタフで、強い馬だから」
単騎で逃げたノームコアが引っ張る馬群は、向正面では15馬身以上の縦長になった。1000m通過は59秒3。平均よりやや速い流れになった。控える競馬をしたラッキーライラックにはおあつらえ向きの展開だ。
3、4コーナーでウラヌスチャームがマクり気味に上がって行った。すると、ラッキーライラックもそれを追いかけるように進出して行く。ルメールは言う。
「外の馬がポジションを上げたので、ぼくの馬もインプルーブした(いいところに上がって行った)」
3番手までポジションを上げたラッキーライラックは抜群の手応えで4コーナーを回り、直線へ。内で粘り込みを狙うノームコアに馬体を離したまま並びかけ、すぐさま先頭に躍り出た。
「早めに先頭に立ったけど、彼女はタフで、強い馬だから、止まらなかった」
そう振り返ったルメールの左ステッキに応え、ラッキーライラックは力強く伸びた。外から来た3着ラヴズオンリーユーと2着サラキアの猛追を抑え、自身4つ目のGIタイトルを手中にした。
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