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地域スポーツクラブの未来は? 会員減少で2極化 - 朝日新聞デジタル

 【兵庫】小学校の体育館などを拠点に地域の人たちが運営する「総合型地域スポーツクラブ」。県内には全国の都道府県で最多の784クラブがあり、市民が楽しむ場になってきた。最近は公立中学の部活動を地域に移行する国の動きの中で、受け皿として注目される。ただ、会員数の減少など課題も多く、活動が弱まるクラブも出ているという。(鈴木春香)

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 平日夜、姫路市飾磨区の小学校の体育館では、子どもらが地域の指導者の指導を受けながら、バドミントンに汗を流していた。

 現在276人の会員が所属する「スポーツクラブ21しかま」。バドミントン、卓球バレーボールなどの5種目の教室を平日夜や土日に開いている。会員は小学生と中高年が多いが、数年前からバドミントン部がない中学の生徒を受け入れてきた。少子化で学校に新しい部活を作るのが難しかったという。

 同クラブの田村泰啓理事長によれば、子ども同士で友達ができ、高齢者がやりがいを持って指導にあたるなど、地域の活性化にもつながっているという。

 「総合型地域スポーツクラブ」は、国が1995年に育成事業を始めた。昨年度時点で全国に3583クラブあり、県内にはその約5分の1にあたる784クラブが設置されている。

 ほとんどは県の事業で整備されたもので、「スポーツクラブ21ひょうご」と呼ばれる。1997年に神戸市須磨区で児童5人が殺傷された事件を契機に、見守りなど地域コミュニティーの機能を高める一環として、県が全小学校区にスポーツクラブを設置することを決めた。

 県は、各クラブに施設整備費として初年度に800万円、運営補助費として5年目まで年100万円を助成。2000~06年に827クラブができた。

 ただ現在、しかまのように活動が活発なクラブばかりではない。県教委によると、創設から約20年が経ち、「クラブの2極化」が進んでいるという。

 06年度以降、34万~38万人で推移していた会員数は10年ほど前から減り続け、20年度にはコロナの影響もあって20万人を割り込んだ。少子化で小学校の統廃合が進み、クラブがなくなったり、活動が弱体化したりという例が増えたという。運営スタッフの高齢化による後継者不足や、財政基盤の弱さも指摘されている。

 2年前の調査では、約6割のクラブが年間予算100万円以下で活動し、有資格指導者の9割は手当なしであることなどがわかっている。

 県が主催する「スポーツクラブ21ひょうご推進会議」では今年4月、10年後のクラブのあり方について、他の組織との連携や法人化などのモデルを提案。クラブを立て直すとともに、持続可能な運営を考えてもらおうとしている。

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 一方、国では、スポーツ庁を中心に部活動の地域移行の議論が進んでいる。休日の部活指導などにかかる教員の負担を軽減し、少子化で選択肢が狭まる部活動の多様なかたちを確保しようとするもので、5月末に有識者会議の提言が固まった。

 来年度からの3年間で公立中学校の休日の指導を総合型地域スポーツクラブや民間クラブなどに託すとしており、部活動のあり方の大きな転換点になるとみられている。

 県スポーツ協会が昨年度に実施した公認スポーツ指導者へのアンケートでは、約半数が地域移行を「支持する」と答えた。一方で4割が「どちらともいえない」と回答。「学校や部活動の方針と合わない可能性がある」「何か問題が起きた時の責任問題が大きい」「報酬もなく指導者のメリットが少ない」などを挙げた。

 県内のクラブは小学校区を単位としてきたこともあり、中学校との連携が弱い事情もある。協会の担当者は「学校と地域の調整をするコーディネーター役が必要になるだろう」と話す。

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 流通科学大学の山口泰雄特任教授(スポーツ社会学)は「弱体化したクラブにとって地域移行はむしろチャンス」と捉える。

 小さなクラブは市町村単位などで統合し、NPOや一般社団法人化を進める▽法人格を持てば一定の条件のもとスポーツ振興くじ助成などの対象となる▽助成を受けて財政基盤が強化できれば組織としての機能がさらに高まる――。山口特任教授はこうした流れを提案する。「これからのクラブには運営体制の充実が必要だ。そうすれば地域移行の受け皿にもなれるはずだ」

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