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[検証 スポーツ賭博]<4>「黒い霧」再来許さず - 読売新聞オンライン

 プロ野球12球団の新人選手は毎年、シーズンが始まる前に研修会で様々な心構えを学ぶ。そこには、八百長や野球賭博など「有害行為」との隔絶が含まれる。これまで、日本野球機構(NPB)の幹部が、近鉄バファローズのエースだった鈴木啓示氏が現役時代に八百長を持ちかけられて断った経験談を紹介するなど、ルーキーたちに自覚を促してきた。「断る大切さを感じた。(相手が)先輩かどうかは関係なく、断るときは断らなくては」。研修を受けたある新人選手は、そんな決意を口にしている。

 プロ野球界には、根幹を揺るがした苦い過去がある。1969年に発覚した「黒い霧事件」だ。暴力団関係者が絡む野球賭博に関連し、八百長行為を行ったなどとして複数の選手が永久失格処分となった。これを機に、選手や球団関係者が賭博に関わらないよう、厳しい指導がなされてきた。

 野球協約では八百長などの不正行為を禁じ、違反者には永久失格という重い処分を適用する。野球賭博や暴力団員との交際も禁止。選手や監督らはもちろん球団職員も対象だ。

 それだけに、経済産業省が解禁に向けて素案を取りまとめた「スポーツベッティング(賭け)」には異論が出る。通算最多3085安打のNPB記録を持つ張本勲氏は「実際に野球でやるのは難しいのではないか。黒い霧事件があり、永久追放もあった。健全にきちんとできるかどうか」と話す。

 「黒い霧」以降も、球界は自ら襟を正してきた。2003年には、私設応援団に入り込んだ暴力団関係者が外野自由席券を転売したり、球場内で暴力を振るったりする行為が各地で発覚した。これを受けて「プロ野球暴力団等排除対策協議会」を設立し、暴排活動を推進している。15~16年には、読売巨人軍の選手による野球賭博問題で3選手が無期失格、選手1人が1年間の失格という厳しい処分を受けた。

 プロ野球は、公正な試合催行に向けた努力を今も続けている。

 日本スポーツ振興センターが運営するスポーツ振興くじ(toto、BIG)についても、球界は慎重に対処してきた。超党派のスポーツ議員連盟がプロ野球への導入を検討した際、15年のオーナー会議ではファンの抵抗感が強いことを懸念する意見もあり賛同しなかった。その後も議連から参加を要請されたが、18年のオーナー会議でも見送りが報告された。

 振興くじは、試合結果などを購入者が予想する「予想系」(toto)と、コンピューターが無作為に結果を選ぶ「非予想系」(BIG)に分類される。球界関係者は「議連側は当時、非予想系を提案してきたが、それも断った。その経緯を考えれば、スポーツ賭博は論外だ」と語る。

 巨人軍でヘッドコーチやゼネラルマネジャーを歴任した鹿取義隆氏は「totoでさえ時期尚早とされてきた球界に賭けはそぐわない」と指摘する。スポーツ賭博は、一つ一つのプレー内容も賭けの対象となる。鹿取氏は「野球は投手が四球を出したり、野手がエラーしたり、個々で出来ることが多く、八百長ができやすいと言え、大がかりな行為につながりかねない。選手は全力でプレーしているのに、うがった見方をされる心配もある」と懸念を示している。

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