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五輪へ駆け上がる…スポーツクライミングの新星、大政涼〈関西発 月イチ! SPORTS〉 - 読売新聞オンライン

 昨年の東京五輪で正式競技に初採用され、脚光を浴びたスポーツクライミング界に新星が現れた。松山大2年の大政涼(20)。高さ15メートルの壁を一気に駆け上がる種目「スピード」で今夏、日本新記録を3回マーク。2024年パリ五輪でのメダル獲得を狙う。(井上敬雄)

 7月30日、地元・愛媛で行われた「 母恵夢ポエム カップ」。雨で滑りやすい状況で自らの日本記録を0秒16更新する5秒42をマークし、ガッツポーズを繰り返した。

 「自分の想像より記録が伸びている」と大政。3月に京都サンガスタジアム by KYOCERA(京都府亀岡市)でのスピード・ジャパンカップで5秒79で初優勝すると、短期間で記録を短縮し、9月のワールドカップで10位に入った。パリ五輪出場枠は世界全体で14人の狭き門だが、日本代表の安井博志監督は「(5秒42は)欧州の強豪国の国内最速に匹敵するタイム。五輪を狙える選手が出てきた」と期待する。

 スポーツクライミングには三つの種目がある。12メートル以上の壁をどの高さまで登ったかで競う「リード」、急傾斜や難所が多い壁の踏破を目指す「ボルダリング」、15メートルの壁を登る速さを争う「スピード」だ。東京五輪では3種目の複合で実施されたが、パリ五輪ではスピードが単独種目となり、リードとボルダリングは2種目複合で争う。東京五輪で女子の野中 生萌みほう (フリー)の銀などメダル2個を獲得した日本勢は、戦略性が問われるリードやボルダリングが得意で、力勝負のスピードを苦手としてきた。

 その種目で世界と戦える可能性を秘めた大政が競技を始めたのは小学5年の時だった。友達の誘いでジムを訪れ、「ゲーム感覚ではまった」。高校1年時の福井国体リードで優勝。石鎚クライミングパークSAIJO(愛媛県西条市)で「登り切った時の達成感がすごい」というスピードと出会い、頭角を現した。

 武器は両腕の筋力を生かした引き手の強さとスタートダッシュで、愛媛県山岳・スポーツクライミング連盟の青木亮二さんは「無駄な動きが少ない」と語る。壁には20個の突起「ホールド」が設置されており、より効率的な足の運び方を磨いている。

 東京五輪の男子で憧れの楢崎智亜(TEAM au)が4位に入り、「知っている選手が出ているのを見て感動した。メダル獲得に向けて本気になった」。大学の講義後にジムで汗を流し、定期的に兵庫県南あわじ市の施設を訪れて強化に励む日々を送る。今はまだ遠い世界の頂に向かい、壁に向き合い続ける。

  おおまさ・りょう  2002年6月、松山市出身。松山大法学部に在学中。今年6、7月に5秒61、5秒58、5秒42と日本記録を3度塗り替えた。趣味はゲーム。遠征の合間にコンビニでアルバイトをしている。1メートル67、60キロ。

  スピード種目  ロープを装着した2人の選手が高さ15メートルの壁を一気に登り、その速さを競う。コースは世界共通で、2人が「1対1」で戦うため、互いの心理戦も見どころだ。

 障害者のスポーツクライミング「パラクライミング」でも、日本勢は世界で活躍する。「視覚障害」「身体機能障害」の2種目で障害の程度によってクラスが分かれ、いずれも約15メートルの壁で登った高さを競う。隔年開催の世界選手権では、2019年大会で日本は金3個を含む7個、21年大会で金2個を含む3個のメダルを獲得した。

 日本協会の小林幸一郎・共同代表は「日本は07年に最初の国内大会が開催されるなど、競技への取り組みが早かったことが強さにつながっている」と語る。パラリンピックでは、28年ロサンゼルス大会での競技採用を目指している。

 五輪に採用されていない競技中心の国際大会、ワールドゲームズに7月に出場しました。ブレイキン(ブレイクダンス)の会場は、米アラバマ州バーミングハムの製鉄所跡地を活用した屋外施設。めちゃくちゃ暑く、湿気もすごいのに、エアコンはないし、控室は扇風機だけ。「踊りたくねえ……」って心が折れそうになりました。結果は3位でした。

 何より悔しかったのは、環境に適応できなかった自分の対応不足です。ブレイキンが五輪で初めて行われる2024年パリ大会では、コンコルド広場が会場になる。快適な室内ではなく、「これからは屋外の大会が増える」と言われていたのに、「まぁ大丈夫」と思っていた自分が甘かった。思うように体が動かなかった。

 ただ、酷暑の中で6人とのバトルを最後まで踊り切れたことは、自分をほめてあげたいとも思う。暑さ対策をちゃんとしなければならないとわかったことも、収穫です。

 この夏は、欧州に2週間ほど滞在してイベントに参加してきました。コロナ禍で、海外の友人らと共に過ごすのは3年ぶり。審判員として外から眺める機会もあって、スロバキアでは10代のダンサーが皆、自分の順番を終えた後も楽しそうに一緒に踊り続けている空間に身を置いて、「やっぱりダンス、めっちゃ好きやな」と確認できた。海外には、パッション全開で踊っている人が多く、自身を表現するのが上手な選手が多い。もっと頑張らなきゃ、と刺激をもらって帰国しました。

 10月21、22日に日本代表として世界選手権に出場します。パリ五輪選考に関わる得点を得られる大会です。前回はたまたま優勝できたけど、順位は考えず、「これだけ練習した。あとは出すだけ」と思えるか。ワールドゲームズに間に合わなかった新しい動きに、自信を持って挑戦したい。

  ふくしま・あゆみ  京都市出身。ダンサー名「AYUMI」で活躍し、2021年世界選手権で初めて金メダルを獲得した。39歳。

 毎月第2土曜日の大阪本社夕刊で、アーバンスポーツ、パラスポーツの選手コラム、トピックを掲載します。2021年の東京五輪・パラリンピックで高まった熱気をパリ大会につなぎます。読売新聞オンラインにも順次、掲載していきます。

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