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eスポーツが救世主に 五輪シリーズに参入する射撃界の胸算用 - 産経ニュース

オンラインゲーム「フォートナイト」は国内eスポーツ大会でも人気のコンテンツだ=2019年11月、東京・東池袋

「スポーツ離れ」が懸念される若者の心をつかむため、仮想空間に活路を求める競技がある。6月22日から4日間、シンガポールで開かれる国際大会「オリンピックeスポーツシリーズ」に参加する射撃だ。「まずは若者の関心を高め、いずれは銃を使う競技者を増やせれば」とは、eスポーツ参入を仕掛けた日本ライフル射撃協会(JRSF)の胸算用。思惑通りに若者のハートを撃ち抜けるかどうか。〝初陣〟に注目だ。

同シリーズは、国際オリンピック委員会(IOC)が国際競技団体(IF)やゲームメーカーと手を組み10競技を行う。野球、自転車、ダンス、テニスなどが名を連ね、射撃もそこに加わった。

本番で使われるのは、世界に3億5千万人以上の利用者がいるとされるエピック・ゲームズ社のオンラインゲーム「フォートナイト」。武器を使ってモンスターを倒すモードや、最後の1人まで競争相手を倒し続けるバトルロイヤルがある中で、ユーザー側が自在にカスタマイズ(加工)できる「クリエイティブモード」で仮想空間を作り、それを競技場にする。今回は、制限時間内にどれだけの標的を撃ったかを得点化して順位を競うという。

古くは1970年代の「スペースインベーダー」に始まり、射撃とビデオゲームは相性がよい。エアピストル・ライフルなどの五輪実施競技とは別に、JRSFは早くから火薬を使わず光線を照射して的を射る「ビーム射撃」の普及にも取り組んできた。いまの日本代表クラスには、中学高校時代に始めたビーム射撃で腕を磨き、本格的な競技に移行した選手もいる。

とはいえ、競技人口の拡大にはつながっていない。実弾を使う競技は銃刀法による規制もあり、ハードルが一気に高くなる。このところ銃器による殺人事件が続いており、射撃競技のイメージが後ろ暗い影を伴うのも事実だ。

同シリーズへの参入を国際射撃連盟に強く働きかけたのは、JRSFだという。「射撃競技には世界的に逆風が吹いている。若い人を取り込むには、ゲームという裾野の広い世界に目を向ける必要があった」。松丸喜一郎会長は背景をそう説明する。

全競技団体に先駆けて2019年にeスポーツの事業化を掲げ、21年5月には事業の推進を担う外部人材を採用した。22年4月には、国際射撃連盟内に「eスポーツコミッション」が設立され、松丸氏が委員長に就任。エピック・ゲームズ社との交渉を行ってきた。

シンガポールで行われる〝競技〟の画面を作成したのもJRSFだという。プレーヤーの視点は、照準と標的が画面に映る「1人称」と、主人公が走ったり跳んだりする「3人称」の2パターン。視点が切り替わる中で、固定の的やランダムに移動する的を撃って得点を競う。

賞金は出ないものの、「オリンピック」の訴求力は強く、今大会には世界ランキングの上位12人を招待して決勝を行う。日本人ランカー2人も参戦の予定。JRSFは17日の理事会で、2人を日本代表として派遣することを決定。これも、国内の競技団体では初めての試みだ。

身体運動を伴わないゲームを「スポーツ」と呼ぶことには、世界でも賛否が割れている。射撃界に限れば、eスポーツ参入への心理的な抵抗は少ない。年齢差や性差、体格差が結果に表れにくい競技特性が影響しているようだ。

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