
山際淳司のコラム観…ストーリーがあり、視点が明快で、字数もたっぷりとある/中編
「江夏の21球」―。徹底した取材をクールな筆致でまとい、スポーツを描く仕事に品格を与えた傑作です。筆者の山際淳司さんは1995年(平7)4月、第1週の火曜日から日刊スポーツで「スポーツアイ」と題した連載を開始しました。しかし連載はたった7回で休止に。13日後、胃がんによる肝不全のため46歳で急逝します。
亡くなるまでの数年、山際さんはことあるごとに日刊スポーツに寄稿していました。最晩年…とは知らなかったはずの傑作選を、リマスター版の3回連載で送ります。第2回は94年10月15日付の紙面から。「新聞週間」のスタートにあわせ、紙の魅力について書き込んでいます。注目は最後の段落。紙からデジタルに媒体が変わっても変わらない、スポーツを書く矜持を鮮やかに表現してくれています。
プロ野球
ニューヨークという町が好きなのは、そこにニューヨーク・タイムズという新聞があるせいではないかと考えることが、ぼくにはある。
マンハッタンのホテルで最初の晩を過ごし、朝になるとドアのノブにビニールの袋に入った新聞がぶら下がっている。それがNY・タイムズであれば、ぼくはいそいそと着替えをすませ、分厚い新聞のなかから〈メトロ・セクション〉だけを抜き取りレストランに朝食をとりにいくのだ。
NY・タイムズのメトロ・セクションは、いわゆる町の話題をとりあげたページで、事件や人物のクローズアップなどが面白い。
ぼくは、しかし、コーヒーを飲みながらそのメトロ・セクションを飛ばし読みしていく。その数ページ後ろにスポーツのページがあることを知っているからだ。読みたいのはそこなのだ。
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