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スポーツ界の片隅で:「ずっと自己肯定感が低かった」 J1守護神が明かす境遇と励まし - 毎日新聞

3歳当時のJ1横浜F・マリノスのポープ・ウィリアム選手(右)。サッカーを始めた頃、朗らかな笑顔を見せていた(左は2歳上の姉)=家族提供
3歳当時のJ1横浜F・マリノスのポープ・ウィリアム選手(右)。サッカーを始めた頃、朗らかな笑顔を見せていた(左は2歳上の姉)=家族提供

 2021年4月25日。プロ9年目にしてサッカー・J1の舞台に立った。その翌日、「J1デビュー。母への感謝」と題してインターネットの投稿サイト「note」に、貧しい母子家庭で育った自らの境遇をつづった。

 <借金を残していなくなった父親の代わりに借金を返しながら僕と姉をたった1人でここまで育ててくれました

 僕には想像できないくらいの苦しみ、辛(つら)さがあったと思います>

 今年からJ1横浜F・マリノスでGKとして活躍するポープ・ウィリアム選手(29)。経済的な理由で、サッカーを続けることが難しい子どもを支援する活動にも取り組む。苦悩と葛藤の人生の原点に迫った。

両親の離婚、借金、ボロボロのグローブ……

 13年にJ2(当時)東京ヴェルディに入団後、出場機会を求めてクラブを渡り歩いた。5度目の移籍先となった大分トリニータでnoteを通じて「告白」するまで、公の場で家族について語ることはほとんどなかった。包み隠さずに心境を伝えた文章はファンの間で大きな反響を呼んだ。

 「noteを始めたのは自分の頭を整理するため。思ったよりも反響があった。想定外だったが、書いたことは紛れもない事実。母に支えられてきたのは間違いない。あの場に立つまでいろいろあった」

 J1初出場が決まり最初に報告した相手は母の美貴さん(60)だった。投稿には美貴さんからの返信も載せた。

 <新しいキーパーグローブを買うお金がなくてあなたにボロボロのキーパーグローブを使わせ続ける情けなさときたら、今でも思い出すと涙が出ます>

 サッカーを始めたのは3、4歳の頃。美貴さんに連れられて近所の公園で遊んだのがきっかけだった。5歳の時に両親が離婚。米国人の父が経営してきた英会話教室を借金とともに引き継いだ美貴さんに、2歳上の姉とともに育てられた。美貴さんは1000万円を超える借金の返済を終えるまでに20年余りを要した。

 「母子家庭なので恵まれていないことは理解していたが、そこまで貧しさを感じなかった。今思えば、母が僕に(貧しさを)感じさせないように無理していた。費用の安い市営団地に移らず、住んでいた民間アパートの家賃を払い続けた。生活環境が変わり、非行に走るのを防ぐためだった」

 美貴さんは食事にも手間をかけた。ポープ選手の好物はカレーライス。高い肉は買えないが、鶏肉をヨーグルトに一晩漬け込み、あめ色になるまで炒めたタマネギとともに、じっくり煮込んだ。食べ盛りの子どもたちの食事を優先するあまり、光熱費や家賃の支払いが滞ったことは、一度や二度ではなかった。

 「本当に貧しさを感じたのは…

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