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佐々木麟太郎、米デビュー戦で見せた強烈なインパクト スポーツライター 杉浦大介 - 日本経済新聞

花巻東高校(岩手)から名門スタンフォード大に進学する佐々木麟太郎が米国でのキャリアを順調にスタートさせている。カレッジでのリーグがスタートする前に、6月11日、メジャーリーグを目指す有望株が出場するMLB(米大リーグ機構)ドラフトリーグでデビュー。ニュージャージーに本拠地を置くトレントン・サンダーの4番打者としていきなり打棒をアピールしてきた。

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「Oh that's exciting!」。11日の初戦、佐々木がいきなり滞空時間の長い一発を放った瞬間、敵地の観客席からもそんな声が上がった。メリーランド州郊外フレデリックの街の人々は佐々木に関する知識はほとんどなかっただろうが、豪快な本塁打の魅力は世界共通である。この日はいきなり2安打3打点1本塁打と暴れたスラッガーのパワフルな迫力は際立った。

「(本塁打は)特大だったね。打つと思っていたよ。打撃練習でのスイングを見ていても、ダイナミックで電撃的だった。とても才能のある選手だ」

サンダーを指揮するアドニス・スミス監督も佐々木の打球の飛距離に驚嘆していたほどだった。初本塁打の後の第4打席では、得点圏の走者をしっかりとかえす右前適時打を放った。

さらに12日の2戦目でも初回にもう少しで満塁本塁打という2点適時打を放ち、守備も無難にこなしてみせた。渡米後では初めてとなる実戦の舞台で、最初の2試合はほとんど満点の内容。「彼は謙虚だが、自身がどんな選手かを理解している」というスミス監督の言葉通り、19歳ながら完成度の高い佐々木の魅力は様々な形で示された印象がある。

ここで断っておくと、MLBドラフトリーグは必ずしも最高レベルの舞台ではない。2021年に6球団制で創設された同リーグは前後期制で、前期(35試合)は7月に行われるドラフトの対象となるアマ選手が主に参加する。注目度が高いとはいえない短大、全米大学体育協会(NCAA)2、3部の選手にとってはアピールのチャンスだが、この時期に売り込みが必要なのであれば、トップ中のトップ選手たちとはいえないのだろう。ゲームを見ていても選手ごとの能力にかなりばらつきがあり、中には到底メジャーに手が届くとは思えない粗削りな選手も含まれていた。

ただ、米国での生活を始めたばかりの佐々木にとって、絶好の試運転の機会であることには変わりはない。打線の中軸を任されるとともに、総合力強化のためサンダーでは一塁だけではなく三塁、外野も守る予定だとか。「まずは環境に慣れさせるため」という理由でメディアの取材に応じる機会はごく限られる方向でもあり、プレーに集中できる環境は整っている。 

前述の通り、ドラフトにも関連する舞台とあって、11、12日はバックネット裏に多くのMLBスカウトが陣取っていた。その中で、トロント・ブルージェイズのスカウトは佐々木の力量を絶賛していた。

「パワーは素晴らしいね。聞いてはいたが、予想以上だった。長打力を備えた一塁手としては有望だ。このまま順調にいけば、3年後(2026年)のドラフト資格を得るころには彼はより抜きんでて、第1ラウンドで指名される選手たちと比較されるようになっているだろう」

チーム関係者の言葉を総合すると、まもなくスタンフォード大でのプレーが始まる佐々木がこのリーグでプレーする時間は短いものになる可能性もありそうだ。それでもここで少しでも経験を積み、スカウトにも早い段階から名前を売っておくことには意味があるはずだ。

それと同時に、年齢の近いハングリーな仲間たちとともに、フライドチキン、プルドポーク(12日のチームの食事メニュー)のような米国のジャンクフードを食べ、切磋琢磨(せっさたくま)しておく日々も貴重な思い出になる。いずれ目標のメジャーリーグに到達したとき、米国でのスタートの地としてMLBドラフトリーグでの時間が振り返られることになるのかもしれない。

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