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地域のスポーツクラブが中学校運動部の受け皿に 先生の負担減、部活動「生涯スポーツへの一歩」 - 神戸新聞NEXT

 公立中学校の休日の運動部活動を民間に委ねる「地域移行」の受け皿として、地域の人たちが運営する総合型地域スポーツクラブ(SC)が注目されている。全国でもトップのSC数を誇る兵庫県では、部活動の移行を活性化の好機とみる団体も少なくない。先行して中学校と連携する播磨町の取り組みを探った。(有島弘記)

 「体勢を低く」「手打ちはあかんよ」

 土曜日の午前、町立播磨中学校の体育館では、卓球部員の生徒が「スポーツクラブ21はりま」会員井下原哲生さん(68)から指導を受けていた。

 町教育委員会は昨年6月から、地域移行のモデル事業として町内2校の三つの部活動に、SC21はりまの指導者ら3人を派遣。井下原さんはその一人で、平日も週に2日、「部活動指導員」として教えている。

 播磨中の卓球部顧問で大卒2年目の畑魁人教諭(24)にとって頼れる存在という。教員は授業準備や行事などやるべきことが多い。「部活では午後6時まで拘束され、それがなければ、より教科に力を入れられる」と負担軽減を歓迎する。

 井下原さんも教育現場の多忙を理解し、生徒の調子などを注視して畑教諭と連絡を密に取っている。「地域からの目線で子どもの心情に気付けることもある」。生徒には「勝ちたい」「楽しみたい」と、それぞれの目標に合わせた技術指導を心がける。

     ◇

 総合型地域SCは1995年、国が育成事業を始めた。昨年7月時点で全国に3439クラブあり、県内には約2割に当たる777クラブが創設されている。「スポーツクラブ21ひょうご」と呼び、県が主導で小学校区に設置を進めてきた。

 県内のSC会員数は一時、30万人台に上ったが、近年は小学校の統廃合や新型コロナウイルス禍もあり、20万人を下回る。小学校単位で創設してきたため、中学校との連携が弱く、進学を機に在籍した小学生の多くが休会する課題があった。

 一方、人口約3万5千人の播磨町全域をカバーするSC21はりまは、2002年の発足当初から町体育協会のほか、少年野球など町内の全スポーツ団体が加盟した。

 立ち上げ時に中心的な役割を果たした町教委の西野直樹さん(58)は振り返る。「毎日のように各団体を回った。吸収されると反発を受けたが、まちづくりでもあるというビジョンが大事だった」

 NPO法人化することで学校を含めた町内の全スポーツ施設を指定管理し、その委託費と約3千人台で推移する会員からの会費と合わせて安定経営を続けている。

 23年度から順次始まる地域移行は、部活動の在り方を見直す転換点となるが、西野さんは「チャンス」と話す。「部活動が地域に移り、会員のまま好きなスポーツを続けることができれば、設立時から掲げる生涯スポーツへの第一歩になる」と期待を寄せた。(有島弘記)

地域移行「楽しかった」モデル事業に手応え

 兵庫県教育委員会は2021年度、運動部活動の「地域移行」に向けたモデル事業を、西宮市と播磨町の公立中学校3校で実施した。民間の指導者も加わった部活動に参加した生徒の約7割が「(地域移行しても)楽しかった」と評価。一方で「顧問と指導者で教え方が異なり混乱する」などの課題も浮かんだ。

 地域移行は部活動を学校から切り離し、外部の指導者に委ねる。少子化や教員の働き方改革に対応するため、スポーツ庁の有識者会議が23年度から25年度にかけて、段階的に導入する方針を提言している。

 西宮市と播磨町の参加者らにアンケートを行った結果、学校側からは「適度に休むことができた」「専門的な指導に生徒は満足している」との声があった。課題では「地域人材の確保の難しさ」や「平日と休日の指導の連携」に懸念が出た。

 また、同じくモデル事業を展開した神戸市教委は、指導者の派遣会社と契約して運営を委託。競技経験のない顧問がいる5校で元選手らが指導した。おおむね好評で「平日も指導してもらいたい」などの意見が寄せられたという。

 西宮市教委は、部員数の少ない学校の部活動を一つに統合する「合同部活動」も市内3校で行い、最適な部活環境を探った。(古根川淳也)

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