
2021年の東京オリンピックから正式競技となった、スポーツクライミング。東京では女子で野中生萌選手が銀メダル、野口啓代選手が銅メダルを獲得し、初代メダリストとなりました。来年に迫ったパリオリンピックでも日本勢の活躍が期待されます。そのパリオリンピックの出場権獲得のチャンスがある大会が始まります。8月1日(火)~12日(土)までスイスで開かれる世界選手権です。NHKではこの大会のもようを中継でお伝えすることにしています。
新しいオリンピック競技として、これから多くの名場面が生まれることが期待されるスポーツクライミング。ぜひいまのうちに競技の魅力を知っていただきたいと思います。今回は、「どこを見ればいいの?」「どんなテクニックがあるの?」「注目選手は誰?」といったさまざまな疑問にお答えすべく、3回シリーズで紹介していきます。
アナウンサーがクライミングに挑戦!
この記事の作成に向けて、実際にクライミングのジムに行ってきました!
横山哲也アナウンサー (左)と平山ユージさん (右)
教えてくださったのは、日本選手として初めてワールドカップで総合優勝を果たし、東京オリンピックをはじめ多くの放送で解説を務めていただいている平山ユージさん。ふだんからスポーツクライミングの実況を担当している、小宮山晃義アナウンサー、西阪太志アナウンサー、そして横山哲也(筆者)、3人のアナウンサーがクライミングを体験しながら取材しました。
1回目は「ここを見ればより楽しい!クライミングの注目ポイント」です。
スポーツクライミングの種類
スポーツクライミングは大きく分けると3種類あります。
① ボルダー:4つの課題のうちいくつの課題を登れるか。「数」を競う
② リード:一発勝負で1つの課題をどこまで登れるか。「高さ」を競う
③ スピード:1対1で同時にスタート。ゴールまでの「速さ」を競う
来年のパリオリンピックでは、ボルダーとリードの合計で競う「ボルダー&リード」と、「スピード」の2種目が行われます。「ボルダー&リード」は8月の世界選手権でトップ3に入った選手がその時点でパリオリンピックの代表に内定(1か国からは最大2人)。「スピード」は世界選手権の上位2人が代表に内定します。
「ホールド」に注目
どの種目も、壁にさまざまな突起物があります。「ホールド」と呼ばれます。ホールドには無数の種類があり、選手たちを悩ませます。このホールドの「大きさ」や「形」に注目すると、クライミング観戦が一気に楽しくなります。
例えばこちらの写真の中央にある、小さな黒いホールド。
中央の黒いホールドに注目
指の先端も引っかからないくらい薄い!
小さいだけでなく、近くで見ると薄いこともわかります。指の第一関節もかけることができませんでした。解説の平山さんによると「指1本分しかないホールドもある」とのことでした。
大きなホールドにもいろいろな仕掛けがあります。取材中にこんなホールドを見つけました。
この青いホールド。選手が登っていく方向から見ると、大きな丸みのあるホールドにしか見えませんが・・・
持ちやすい部分はあるが見えにくい・・・
実は逆から見ると、つかめる場所があるのです。私も実際に手を伸ばしてみましたが、つかむ場所があるとわかっていても、なかなかつかむことができませんでした。
選手の目線だと見えないためつかみにくい
放送の中ではさまざまな角度からホールドを撮影します。テレビの前で観戦している皆さんのほうが選手よりもホールドの特徴がよく見えていることもあります。
攻略が難しそうなホールドを1つ見つけて、そこをどうクリアしていくのかに注目すると、楽しいですよ!
平山さんはこんな話もしてくれました。
平山ユージさん
「ホールドは毎年新しいものが出てくる。最近のトレンドは1つのホールドで場所によって素材が違うもの」
そのホールドがこちらです。
ホールドの説明をする平山さん
照明を反射して光っている部分と、光っていない部分で素材が違っています。
1つのホールドに素材の違いがある
光っているところはつるつるしていて持ちにくく、光っていない部分はざらざらしていて比較的持ちやすい仕様になっています。
親指だけ滑ってしまう
私も写真のようにつかんでみましたが、人さし指から小指にかけては引っかかる感覚があるのですが、親指のところだけ滑るので、力が入れにくかったです。
世界選手権でも、このタイプのホールドが必ずあるはずです。ぜひ探してみてください。
「壁」に注目
ホールドが取り付けられている壁そのものにも注目すると、クライミング放送がより楽しめます。
まずはこの壁。
手前にせり出す「オーバーハング」
登れば登るほど、手前側にせり出しています。「オーバーハング」と呼ばれます。パワーと瞬発力を必要とする壁で、力強い登りで素早く攻略することが求められます。
続いてはこちらの壁。
奥側に傾く「スラブ」
先ほどと逆で、登るほど壁が奥に傾いています。「スラブ」と呼ばれる壁です。一見すると先ほどの壁よりも簡単そうに見えますが、このような壁に取り付けられているホールドは小さかったり薄かったりするタイプが多く、繊細なバランス感覚が要求されます。平山さんは「世界のトップ選手でも苦手な人が多い」と話していました。
最後にこちらの壁。どこが特徴だかわかりますか?
この壁の特徴は、直角にくぼんだスペースがあることです。こうしたスペースをうまく利用することもクライミングには必要です。
平山さんがデモンストレーションで見せてくれた登りがこちら。
くぼんだスペースに体を入れて全身を持ち上げるように登っていきました。
壁の中に大きな空間を見つけたら、「あのスペースをどう使うのかな?」と思いながら見てみてください。
クライミング世界選手権は8月1日開幕!
細かいルールはまだまだありますが、ルールは放送の中でもアナウンサーや解説が紹介していきます。まずはホールドと壁の注目ポイントを頭に入れておくと、クライミングを見る目が変わるかもしれません。
まもなく始まる世界選手権をご覧いただく際の参考にしてみてください!
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