集中力が勝負を決する。静寂の中、矢が的に突き刺さる「パシッ」という音だけが体育館に響き渡る。栃木県足利市内での県スポーツウエルネス吹矢(ふきや)協会足利中央支部の練習風景。静かな熱戦が繰り広げられていた。
吹矢といえば、忍者が駆使する武器のイメージ。だが、現代は老若男女が楽しめる健康スポーツとして発展してきた。六月下旬、同市で開催された国体デモンストレーション大会では監督・選手計百七十六人が参加した。
長さ一・二メートルの筒を口にくわえて息を強く吹き込みビニールフィルム製の矢を飛ばす。六〜十メートル離れた的は中心ほど高得点。一ラウンド五本の矢を放ち、四〜六ラウンドの合計点で勝負を決するルールだ。
「鼻で三秒吸う。九秒息を吐く。射的。六秒息を吸って心を整える」。呼吸法の指導を受けながら記者が挑戦すると初射から的に当たった。的に向かって礼をして始め、礼で終わる所作は武道のよう。集中力を高めるのに役立っている。
練習に参加していた佐野市の鶴谷宏之さん(70)は「六十五歳から続けているが、上がらなかった右肩が動くようになった」。足利市の大谷ミイ子さん(72)は「うつ病ぎみだったが吹矢を通じて深い呼吸法を学び、二年ほどで治った。健康にも心にもいいね」と笑顔で話していた。
県スポーツウエルネス吹矢協会の松村兵三会長(87)は「腹式呼吸で血行が良くなり、参加者はみんな元気。ゲーム感覚で老若男女が一緒に楽しめるので生涯スポーツとしても最適」と勧めている。(梅村武史)=おわり
◆やってみよう!
全国組織、日本スポーツウエルネス吹矢協会傘下の県協会には二十の支部があり、五百人を超える会員が参加している。道具は個人管理で一式一万円前後から。松村会長が支部長を務める足利中央支部では五十代から八十代まで約四十人が週一回の練習に汗を流している。問い合わせは松村会長=電090(7226)0022=へ。
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