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【新聞に喝!】さらなる障害者スポーツ報道に期待 同志社大教授・佐伯順子 - 産経ニュース

小田凱人=ウィンブルドン(共同)

スポーツの世界大会は、国際的なメディアイベントとして、国や地域を超えて広く報道される。開催中のサッカー女子ワールドカップ(W杯)での日本代表「なでしこジャパン」の活躍ぶりは、英語のオンラインメディアでも逐次報道された。私が7月に現地で観戦した、テニスのウィンブルドン選手権車いすの部男子シングルスの決勝戦もBBCが中継した。この試合では小田凱人(ときと)選手が全仏オープンに続く勝利で四大大会の2連勝を決め、大会史上最年少優勝の快挙を成し遂げた。

日本で車いすテニスは、四大大会のシングルス優勝28度の実績を残して今年引退した国枝慎吾氏の活躍もあり、新聞の注目も高まった。

東京新聞の電子版記事(7月16日)は「シャンパン開けたいけど、17歳なんで…」との見出しで会場の雰囲気を伝え、好感が持てた。英紙記者の「驚異的だ」との感想や、小田選手応援の関係者がチケットを取るために朝6時から並んだという、支える側の情報にも気配りがあった。

決勝戦の試合中は、対戦相手で地元英国のヒューエット選手への応援が大きかったものの、試合終了後は会場全体から小田選手の健闘をたたえる拍手がわき起こり、その場にいた私も感無量だった。

産経は7月20日の主張で「『希望』の継承を称えたい」と掲げ、「これほど見事で素敵(すてき)で劇的な世代交代劇があったろうか」と感動的に評した。小田選手が「障害のある子供たちの刺激や希望となるために、コートで戦い続けている」とし、スポーツの枠を超えた勝利の意味を論じる内容が有意義であった。

日本の新聞は小田選手優勝の帰国時の歓迎の様子や、野球の始球式への登場なども報道し、車いすテニスの知名度の高まりを感じさせた。ただ障害者スポーツ全般について、報道はまだまだ果たすべき役割がある。それは英国も同じであり、車いすテニスふくめ障害者スポーツの報道は地味になりがちである。

全仏後に小田選手は車いすテニスを「さらに大きいスポーツにしていく」と発言していたが、ハンディキャップのある生活者への大きな勇気づけになったことだろう。

来年は障害者スポーツに世界の注目が集まるパラリンピックがパリで開催される。障害者スポーツの振興を通じたインクルーシブな社会(多様な人々を包摂する社会)をどのように実現していくべきかについて考えさせる、より活発で、より深く掘り下げた報道を期待している。

佐伯順子 さえき・じゅんこ 昭和36年、東京都生まれ。東京大大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。専門は比較文化。著書に「『色』と『愛』の比較文化史」など。今春から研究のため英国滞在。

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