◇15日 中日5―3阪神(ナゴヤドーム)
どんなに追い込まれても、不敗神話は破られない。中日は15日の阪神戦(ナゴヤドーム)で、2点リードの8回に祖父江大輔投手(33)が3失点。6回終了時にリードした試合の連勝も「31」で止まると思われたが、9回裏に高橋周平内野手(26)が左越えの6号逆転サヨナラ3ラン。自身プロ入り初となる高橋のサヨナラ打で今季2度目の5連勝を飾った。
高橋の逆転サヨナラ弾が飛び出す数分前、ベンチで声が上がった。「よっしゃ。いいリズムだ」。劇的な結末へ向かう機運を生み出した男がいた。「このリズムをつくった藤嶋の投球も本当に良かった」。与田監督の賛辞が全てを示していた。
9回に5番手で登板。先頭の小幡を1球で中飛に打ち取った。梅野はポンポンと直球で追い込み二ゴロ。近本にはカーブが2球外れたが、3球目の141キロを打たせて三邪飛に仕留めた。わずか7球で三者凡退。間違いなく流れを変えた。
手にしたのは先発だった2018年9月8日の広島戦(ナゴヤドーム)以来、2年ぶりの勝利。「少しでもチームの力になれてうれしいです」。背番号54は血行障害の手術後では初の白星に顔をほころばせた。
守護神に立候補して迎えた2020年。オープン戦で岡田との競争に敗れた。それでも6月の練習試合は5試合で1失点。4年目で初の開幕1軍を射程に捉えていた。
ただ、開幕2日前の6月17日に指揮官から告げられたのは厳しい現実だった。「去年より球の走りも良くないし、もう少し状態を上げてきてほしい」。直前での2軍落ち。「言われたときは人生で一番悔しかった」。早期昇格を誓った。
苦難はその後も続く。7月12日に今季初昇格したものの、28日に再び2軍落ち。それでも前を向き、9月8日に1軍に戻ってきた。この日も含めて18試合のうち15試合が負けている場面。1勝0敗2ホールドの数字がチームでの立場を物語る。
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