東京オリンピック(五輪)パラリンピックは、コロナ禍での開催を巡って世論が割れ、そしていま汚職事件が広がりを見せています。オリンピックを経て、あらわになった日本のスポーツが抱える課題と、進むべき道を、スポーツ社会学が専門の菊幸一・筑波大学体育系教授に聞きました。
――東京オリンピックが決まった時点では、どんな期待をしていましたか。
「私は1964年東京オリンピックのメモリーがある世代です。五輪へのあこがれは当然ありました。ただ、当時とは社会情勢がまったく違います。現在の日本だからこそ発信できるメッセージがあるのではないか、と思っていました」
――それはどんなことですか。
東京五輪・パラリンピックから1年。「復興」「多様性と調和」などがうたわれた祭典は何を残したのでしょうか。汚職事件、スポーツ振興に残したもの、施設や人材を生かすには、復興やSDGsと五輪などについて、詳しい識者や関係者に功罪も今後の課題も聞きました。
「例えば、まだメダルも入賞もしていない国々に本当にひっそりと、陰ながら競技力向上に協力する。スポーツを通じて、発展途上国の人たちが持つエネルギーを育てていく。そういうことは期待しました。今風の言葉で言うと、Sport for Development and Peace(開発と平和のためのスポーツ)です」
「私は独立直後の東ティモールに行ったことがあります。当然まだ五輪のメダルや入賞はありません。中国はモノを贈って、モノを建てて貢献しています。日本の場合は、スポーツのソフトウェアを提供して小さな国でも入賞できる、そういう支援の仕方があると、ずいぶん違っただろうなと思います」
――オリンピックの成績は国の活力になりますか。
「かつての日本がそうでした。発展途上国から見ると、メダルや入賞は夢があります。ただ、日本はもう成熟社会です。メダル獲得数だけで喜ぶ時代でもない。2012年ロンドン・オリンピックが大都市の社会課題の解決を目指したように、成熟国家が五輪を開催する意味を示す必要がありましたが、残念ながらメダル争いのみに関心が向けられた感が否めませんでした」
――1年の延期で、オリンピックの裏側があらわになりました。
「ポリティカルとエコノミカルの本音がむき出しになりました。それが反省材料になればいいのですが、実際にゲームが始まると『感動』でかき消されてしまう。また冷静になると、あんなこともあった、こんなこともあった、と思い出される。今、招致している札幌冬季オリンピックも、莫大(ばくだい)なお金がかかり、税金も投入されるという事実を忘れてはなりません」
――延期期間中、アスリートは非難の対象になりました。
「スポーツ自体が、純粋に自…
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